親切

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外出先から自宅に戻り、のんびり過ごしていたら見知らぬ携帯番号から電話。
立て続けに2度かかってきたので、ちょっと不審に思いながら出てみたら、ご年配のご婦人の声で
「××さんでいらっしゃいますね?」。

「私、Aと申すものですけれども、タクシーの中にお財布落とされたでしょう?」。

ハッと鞄の中を探ってみたら、確かに、ない!!!

なんでも、どうやら私が降りた直後に同じタクシーを拾い、デパートMまで乗車された模様。
下車した直後に運転手さんに「おばあちゃん、これ、忘れてるよ!」と言われて、
自分もしょっちゅうタクシーにものを忘れるから「またやってしまったか」と無意識で受け取った直後に
見た事もない財布だと気づいたのだと言う。

気づいた時には、運転手さんは雨の中を走って既に車に乗り込んでしまっていたから、
唐突の事に車が走り去るまで硬直してしまったのだとか。

頭が混乱したままとりあえず、とデパートの総合受付に持って行って相談してみたが、
慇懃無礼に「そんなものうちに持ち込まれても。」という迷惑そうな対応をされたので、
申し訳ないとは思ったのだが、自分が財布を開けてみたら郵パックの配送票が出てきた。と。

送り主の住所が近所だったので、なるほどと思い配送票にあった携帯番号にかけてみました・・との事。
(先日実家に小包を送った際の配送票が財布に入ったままでよかった!!)

会計済ませてから傘だの手袋だのをひっつかんで慌ただしく降りる際に
横着してコートのポケットに長財布なんか突っ込んだから
シートにぽろっと落っこちてしまったのだろう。
キャリーバッグを取り出すのに「トランク開けて頂けますかぁー!?」なんてやってる間も
ポケットが軽くなってる事にまるで気づかんかった。

こんなご時世で、わざわざ拾った財布を届けて下さる方がいるなんて・・・・・・・・!!

「私ね、雨降っていてやる事もないから孫のお雛祭りのお祝いのお菓子でも買おうと出てきただけなのよ。
たいした買い物する予定もなかったの。
よその方の財布を預かってると思うだけで、ドキドキしてしまうものね。
お宅、3丁目でしょう?私の家は2丁目なの。
今から自宅に帰るから、家まで取りにきて下さらないかしら。
うちの住所は2丁目X番地X号、電話番号は〜〜〜〜。」

お買い物を切り上げて頂くのはしのびなく、
「これからMデパートまで行きますので受付に預けて下さい、ごゆっくりお買い物して頂きたいですから。」と言っても
「ここの受付、態度悪いから預けるのは気が進まないわ!!
私も責任を持って直接お渡ししたいし、どうせ家に帰るのだから、出来れば家でお渡し出来ないかしら?」

結局、ケーキを持参して(←文無しだから家人に買ってもらって)指定された時間に家人と二人でご自宅へ伺う。

出てこられたのは、想像通り、品のあるにこやかなご婦人。

拾って下さったのがこんな親切な方だったなんて・・・・幸運にも程がある。

普通なら見知らぬ人間に自宅まで来られるのだって気持ち悪い、と思うだろうに。

受付でぞんざいな対応をされた時点でとても嫌な気分にもなったろうに、それでもなんとか
持ち主に届けようと真摯な気持ちで連絡を下さったことが申し訳ないやら、ありがたいやら・・。

ちょっと涙が出そうになっちゃったわ。

それにあの、道中ずーっとしゃべりっぱなしだった人の良さ丸出しの運ちゃん。
あの方の陰でもあるのだ。

いやね、近頃すいか腹抱えて電車で立ってると
「あれ?あたし、無意識のうちに ' 忍法:集団催眠の術 ’でもかけちまった?」
と思うほど、目の前に座ってる人たちを一斉に眠りに落としてしまうことがあってね。

(特にこの術が、今の今までピーチクパーチクやっていた賑やかなご婦人グループに
非常に効いてしまう様子)

人によっちゃ「げげーーっ!よりによって俺の前に来ちゃったよ!勘弁!」って緊張感で目が泳いじゃってる。

席譲って欲しさのあまり人の前に立ってると思われてそう(つーか本音を言うと実際そうだけど)とか
周囲にプレッシャー与えてるように映るんだろうか、とか。

この居心地の悪さ。

こういうのも「世知辛さ」って言うんかな、と考えていた矢先だっただけに、
感動もひとしおだったのです。


今時の東京にもこんな方々がいるんだ。

なんとも言えない、この幸福感。

今日の事は忘れることはできないな。

<余談>
予想に反して男の子のお孫ちゃんまで玄関先にちょこちょこと出てきたもんで、
ケーキの数が足りたかとちょっと気を揉んでおります。
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by morningsun71 | 2014-03-02 22:55 | 日常


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